2005年09月26日

セブ・レポート - 楽園と奈落の境界

楽しみにしていたセブ旅行…しかしながら何ということか、期間中は連日連夜の台風一過であった。せっかくのヒルトン・セブでの生活も、お日様が照らなければ何ということもない。強風で海も荒れていたので、アイランドホッピング(無人島をボートで渡り歩く遊び)もできずじまい。おかげさまでまともなリゾートライフを過ごすことはできなかったが、転んでもただでは起きない私は同行した友人とともに混沌の街へと繰り出すことにした。

大風が吹きすさぶ中、ジプニー(現地の乗り合いミニバス:バンや軽トラを改造したもの)に乗り込んで街の中心部にあるマーケットへと向かった。街の構造はあまり把握できていなかったが、タクシーを使ったりもしてなんとかたどり着く。フィリピンでは英語が第二外国語となっており、片言の英語は多少話せるようだったので他の東南アジアの国々に比べると比較的楽にコミュニケーションできたのが良かった。

それにしても、インドやエジプトで低所得者層の生活を散々見てきた私であったが、数年ぶりに見てみるとやはりあらためて感じてしまう。現在の日本がいかに豊かであり、幸せであるかということを…。路上でおち○ちんをいじくりながら、うろうろする幼子。その横を猛スピードで通り過ぎる危険な車。そんな車が土ぼこりと排気ガスを撒き散らして、街中がスモッグ状態。電線は剥き出しで手を伸ばせば触れて感電してしまいそうである。糞と汚水を避けるために常に足元に気を配る。物乞いがつきまとってくる、ギラギラと目を輝かせながら怪しげな男が後をつけてくる。

ヒルトンからでてきた私は一瞬にして、天国から地獄へ突き落とされた気分だった。いつもの旅では安宿に宿泊するので、ここまでの違和感を感じることはない。今回はヒルトンの超豪華ビュッフェスタイルの朝食を取って大満足した後の話だったので、環境の変化に慣れるのに大変だった。こんなギャップを短時間で感じたことは無かったので、ある意味今までで最大の衝撃だったかもしれない。

下町訪問用に多少みすぼらしい格好をして行ったのだが(ヒルトンのロビーを出るときはそれはもう恥ずかしかった…)、もしも日本を出国する時のような身なりをしていたら、大変なことになっていたかもしれない。かつてエジプトの田舎町を旅行していたとき、何十人もの人々につきまとわれた恐怖を思い出していた。

しかしセブはもともと観光客が多い街。そんなにつきまとわれるという事もなく、いろいろ買い物をすることができた。その怪しげなマーケットでは現地価格で(外人だから多少ボラれているとは思うが)、たくさんのアクセサリーや衣類、布を購入。しかし、まだ慣れない悪臭と露天商の扱う鶏のグロさに気分が悪くなったので、次はセブ中心街のSM(シューマート)というデパートへ向かった。

ここは入店するにもセキュリティーガードのチェックが厳しく、当然物乞いや怪しい輩は入れないようになっているようでかなり安心して買い物することができた。店の内部も日本のデパートと変わらないような清潔さ。今まで見てきた世界が嘘のようにキレイな空間だった。驚きだったのはそんな高級デパートも、一般のセブのお客であふれていたということだ。あの貧しい街のどこにこれほどの金持ちがいるのだろうという感じだった。おそらくセブシティ郊外に金持ちの居住区があるのだろう。

イメージとしては上海の街と似たような感じ。リゾートビジネスで儲けた人々とジャパユキで稼いだ成り金たちが集まる。こうして異国の人々を勝手気ままに評価するこんな自分も、ジャパニーズマネーのおかげで臨時に金持ちになった「即席成り金」にすぎないのだが…。即席成り金の特権を惜しみなく使って買い物を楽しみつつも、この貧富の差のギャップに罪悪感を感じながら帰途についた。

この夜、ヒルトンの豪華な寝室で物思いにふけった。
自分は今まで、貧乏旅行を極めてきたつもりだった。何でもかんでも現地価格まで値切らないと満足できずに、時には現地平均価格を値切ろうとした事もあった程だ(もちろん断られたが…)。当時は「日本人だからふっかけられるんだ。なめられてたまるか!」なんていう強弁を張っていた。しかしそれがいかに貧困な考えであるか思い知らされたと同時に、そんな自分を恥じた。

日本人は世界の資源を搾取している側だ。それが旅行先でちょっとボラれるくらい、どうだというのだ?信じられないほどに豊かな生活を享受していながら、現地価格さえも値切ろうとするその情けなさ。騙されるのはイヤだけど、ボラれているのを分っていながらも気前良く支払ってあげることができれば相手も幸せ。そんな喜ぶ相手を見る自分も幸せになれる。

なんだかそう考えたら、リゾートにうつつを抜かすよりもよっぽど多くの事を学ぶことのできた良い旅だったと思う。これからは今まで以上に、自分が生きている環境の素晴らしさに感謝し、この天国のような日常をいつも楽しく暮らすことができるようになれるだろう。もっと自分自身の豊かさに目を向けて、偽善とかではなく自然体で寄付ができるようになれれば最高だ。ほんの数週間前に熱く語っていたホワイトバンドについても、もっとニュートラルな心で身につけられると思う。

てなわけで、リゾートライフを邪魔してくれた台風に大感謝!


さそり
この記事へのコメント
「天国に住まう盲目の住人たち」っていう詩をこの記事の直前にアップしていたのですが、どうやらその記事に上書きしてしまいました…泣

アップしてすぐ、アクセスしてくれた方々も多かったようなのでとりあえずご報告です。バックアップとっていなかったうえ、即席で書いたものだったので再生不可です。

また気が向いたら書くかもしれません…
Posted by Mikura at 2005年09月26日 13:22
 三蔵さん、お帰りなさい☆
台風だったようですが、貴重な体験ができて良かったですね。
 日本がいかに安全で豊かであるかを改めて実感しました。
 今こうやって普通に生活している事が、すごく幸せで、ありがたい事なんだなぁ♪
Posted by CHISA at 2005年09月26日 21:01
CHISAさん

ただいま帰りました。正直、台風が発生ってのを聞いたときには愕然としましたけど…笑

貴重な旅にすることができてホントに良かったです。日本に生まれたことに感謝できれば、普段忘れがちな両親への感謝や、当たり前のように享受しているいろんなことがいかに奇跡的であるかに気づけます。
Posted by Mikura at 2005年09月27日 09:52
セブ行ってたんだ〜。すごく海がきれいらしいね。一度は行ってみたいリゾートです。

貧困の中に生きる人々はたくましい。日本人が考える以上に、自分達の幸せの中で生きているような気がする事もあるな〜。時々それがうらやましく感じたり。

こう思えるのも私が日本で生まれ育ったからであって、今までの環境に常に感謝♪
Posted by ノッチ at 2005年09月28日 12:05
ノッチさん

いらっしゃい、コメントサンキューです。
実はタイも候補地のひとつにあがってたんだけどね。今回は行ったことの無いフィリピンをチョイスしてみました。
ただ、記事中にも書いたけど台風に遭ってしまって、海でのリゾートライフは思うように楽しめなかったのさ。

ノッチさんの言うように、「日本人が考える以上に、自分達の幸せの中で生きている」ってのは、自分もヒシヒシ感じます。
結局、幸せの定義はどこでも同じ。環境がどうであれ、その人が幸せかどうかっていう、それだけだもんね。

ホントに海外に行くと、いつも新しい気づきをもらえる。旅って素晴らしい!
Posted by Mikura at 2005年09月28日 13:03
ホント海外って、普段当たり前にあって意識しにくい
自分のおかれている環境が客観的に見えて
色んな気づきがありますよね。
その気づきからはマイナスの感情(罪悪感とか)が
湧いたりすることもありますが、
生きるパワーがもらえる気がします。
(だから旅は癖になるのでしょうか・・)

「天国に住まう盲目の住人たち」是非読んでみたかったです。
でもタイトルだけでも十分ひとつの詩になってますよ^^
Posted by speechinuk at 2005年09月28日 21:17
Speechinukさん

う〜む。昔から「可愛い子には旅をさせよ」っていうけど、あれは愛する子供は甘やかさずに厳しく育てよっていうことの比喩だけじゃなさそうですよね。
言葉通りに旅をさせると、いろいろなことを学び感じて、大きく成長するものなのかもしれません。

それと…旅が癖ってのは私もそう。一度行っちゃったらもう病みつきですよね。万博行った時には、「旅欲」を抑えるのに苦労しました(笑)。

天国に住まう…は、もう少し煮詰めていつか再度挑戦します。なぐさめのお言葉、ありがとうございました…泣

Posted by Mikura at 2005年09月29日 15:05
はじめまして。
毎年、スキューバ・ダイビングをしに沖縄に行っていたのですが、今年は何故かセブに行くこととなり、先週、初めてセブに行って来ました。

セブに行ってビックリ!
私の今までの常識が全て吹き飛ぶようなカルチャーショックを受け帰国し、今も立ち直れません。
4泊5日で行ったのですが、ようやく慣れた頃に帰ってくるのは非常に残念でした。
またお正月頃には行きたいと思います。
Posted by Sparc at 2005年10月19日 19:33
Sparcさん

はじめまして、書き込みありがとうございます。

常識が全て吹き飛ぶようなカルチャーショック!!素晴らしいじゃないですか。そうやって自分の壁が崩れた時、ものすごい大きな学びがあるんですね。

沖縄から世界へ!
お正月のセブも今から楽しみですね。また感想を聞かせて下さい(笑)
Posted by Mikura at 2005年10月20日 10:46
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